2015年5月10日日曜日

健康を知る006 頭脳と利己主義がなければ



「健康を知る」も第6回になり、時には少し深い話もしてみたいと思います。

動物の世界を見ると、人間と大きく違うところがあります。それは「医療や栄養学が無くても健康で、自分の死期を知って逍遙として死に臨む」ということと、「集団に寄与できなくなると命を終わる」ということの二つです。また人間に飼育された動物は野生の動物と違って、独特の病気にかかります。「鳥インフルエンザ」がその例の一つで、野鳥は原則として発症しません。「家禽病」、つまり「人間に飼われること」が病気の元になるという病気が多いのです。

つまり、健康を害し、寿命が短くなるのは、

1) 知識があるから、

2) ストレスがあるから、

3) 利己主義だから、

4) 調理しすぎだから、

と考えられます。

最後の4)ですが、これが家禽病の原因かも知れません。また3)は動物界で共通のことで、「寿命を決める健康状態」とは「個別の動物の健康状態」ではなく、「集団に寄与しているか」がその前提になります。

哺乳動物では閉経後のメスやはぐれオスの寿命が極端に短いのは「集団で貢献できない個体は健康でも死ぬ」ということを示しています。幸い、人間の社会は複雑なので、いろいろなことで「社会貢献」ができます。女性の場合は主としてお世話が有効で、男性では社会の役に立つことと考えられています。

人間、特にヨーロッパ文化は「個人が良ければ良い」ということですが、これは浅薄な考えで、人間を含めた多くの哺乳動物はそんなに簡単な運命を持っているわけではなく、「個人より集団に貢献するほど長生き」というのが普遍的な原則のようです。

この際、「自分の健康」より「社会に貢献する」ことに重点を置く「健康法」を編み出すのが良いと思います。

(平成27年4月29日)

(出典:武田邦彦(中部大学)ブログ



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